予定表 -詳細情報-

件名 ケインズ・パイロット・シンポジウム――現代世界の危機にどう向き合うか
開始日時 2010年 12月 12日 (日曜日)   12時30分 (GMT+09:00)
終了日時 2010年 12月 12日 (日曜日)   18時00分 (GMT+09:00)
場所 上智大学・四谷キャンパス
連絡先 平井俊顕 (上智大学)
詳細 ケインズ・パイロット・シンポジウム――現代世界の危機にどう向き合うか

 http://blogs.yahoo.co.jp/olympass/51214992.html
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ケインズ・パイロット・シンポジウム

― 現代世界の危機にどう向き合うか ―


趣意

このシンポジウムは、現代世界の危機を「ケインズ的スピリット」で論じ合うというものである。
 最初に、ケインズのことに言及しておこう。
ケインズの活躍した時代、それは第一次大戦で瓦解した「パックス・ブリタニカ」を回復させようとする努力が挫折し、世界は混乱と分裂の度合いを深めながら第二次大戦に突入していく、という時代である。こうした時代状況を打開すべく、ケインズは新たな経済理論・経済政策論、ならびに新たな世界システムを次々に提唱していった。これらの点で彼に比肩する人物は皆無である。そればかりではない。周知のように、ケインズは『雇用・利子および貨幣の一般理論』(以降、『一般理論』1936年)を通じて、その後のマクロ経済学、経済政策論、ならびに社会哲学の領域で「ケインズ革命」と呼ばれる深甚なる変革を引き起こした。

ケインズが、現在の世界経済を考察するうえできわめて重要なものにしているのは、現在の経済学・経済政策・社会哲学・哲学・文化の閉塞感を打ち破る大きな契機を提供しているからである。
ケインズは深い理論を構築する能力を有していたが,それに溺れることはなかった。彼は、制度、不確実性、人々の心理、歴史といった点に絶えず配慮を払う人物であった。彼は、数理のための数理に走るような(当時の)数理経済学的手法に異を唱えた。
 ケインズはまた、独自の哲学的・論理学的視点からティンバーゲンの計量経済学的手法に懐疑的であったが、そのさい、自らの経済学に対するスタンスを次の2点におく。1つは、経済学を論理学の一分野とみなすスタンス、もう1つは、経済学を「モラル・サイエンス」と特徴づけるスタンスである。これは、内省と価値判断を用い、動機、期待、心理的不確実性を扱う科学とされる。
しかも、彼は現実の経済分析にきわめて鋭敏な直感を働かせる能力に長けており、統計の重要性を、生涯を通じて強調した。

ケインズが打ち立てたマクロ経済学・社会哲学をめぐっては、この70年間に大きな変動の歴史がある。かつてはマクロ経済学といえば「ケインズ経済学」であったが、この30年間は、それに批判的な「マネタリズム」、さらにはケインズ的思考そのものを否定する「新しい古典派」がアメリカの学界を席巻してきた。それは同時に、「ケインズ=ベヴァリッジ社会哲学」から「ネオ・リベラリズム」への移行であった。
 私たちはそうした傾向には懐疑的であり続けてきた。それは、理論的・社会哲学的・方法論的に問題を抱えているからである。経済分析の手法として「新しい古典派」のとるアプローチに経済学の未来を託すことはできない。代表的家計、合理的期待形成、効用理論、完全雇用やセイ法則を当然視するスタンスで、現実の世界経済を分析し政策提言を行うことは不可能である。私たちは、こうしたスタンスを多かれ少なかれ共有している。いってみれば「ケインズ・スピリット」を有している。
 こうした折り、(2008年9月の)リーマン・ショックに象徴されるメルトダウンが生じ、現実経済と経済学、社会哲学を取り巻く状況が一変した。
 これまでの主流派マクロ経済学は、事実によって背後に置き去りにされた。そして経済危機の問題に直面してその解決を図らねばならない政治家は部分的には「直感」、部分的には「事実」によって、経済学者が主導してきた考えをうち捨てた。アメリカ、EUをはじめ、これまでの金融の野放図な自由化運動は厳しく批判され、政府による金融規制の必要性が強く認識されるようになっている。自己責任原則の旗印のもと、グローバルなスケールでの金融自由化の先頭を走っていたウォール・ストリートのメガバンクは真っ先に助けを請い、そして救われた。非自発的失業など存在しないと主張していた経済学者は、膨大な失業者を前にして発言力を喪失してしまっている。そしてこれらは、社会哲学としての「ネオ・リベラリズム」(市場原理主義)の敗退でもある。新しい経済学、新しい社会哲学はいかなるものであるべきなのか。こうしたことが、私たちの重要な関心事である。
 「ケインズ・スピリット」をもつ研究者による新たな経済学の展開、新たな社会哲学の展開がいまほど必要とされているときはない。
 こうした問題意識のもと、このシンポジウムを開催することにした。

日時 12月12日(日)
時間 12:30-18:00
場所 上智大学12-502号教室


プログラム

第1シンポジウム 世界経済のゆくえ・日本経済のゆくえ
         ― 経済理論・経済政策論の視点から

浅田統一郎 教授(中央大学)
小野善康 教授(大阪大学)
吉川洋 教授(東京大学)

司会:野口旭 教授 (専修大学)

14:30-15:00 コーヒー・ブレーク

15:00-16:00
伊東光晴 教授(京都大学)
 
司会:若田部昌澄 教授(早稲田大学)
  
16:00-17:30

第2シンポジウム 現代資本主義をどうとらえるのか
 − 経済思想、社会哲学、哲学の視点から

伊藤邦武 教授(京都大学)
岩井克人 教授(国際基督教大学)
間宮陽介 教授(京都大学)

司会:平井俊顕 教授(上智大学)
カテゴリー 講演・セミナー・シンポ
投稿者 sato
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最終更新日 2010年 10月 29日 (金曜日)
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