EconThought News - 200912のエントリ
http://synodos.jp/event/index.html#Lecture04
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Lecture04 シノドス×光文社共催
若田部昌澄「経済学の勘所を歴史に学ぶ ― もう一つの経済学再入門」
日時 : 2010年1月24日(日)9:30〜17:00
場所 : 光文社(東京メトロ有楽町線護国寺駅5番出口より徒歩5分 地図はこちらです )
定員 : 40名
費用 : 12600円(税込)
レクチャー概要:
経済学を勉強した、あるいはしようとした人から寄せられる疑問(不満?)に、教科書が無味乾燥としていることと、現実との対応があまりないということがあります。むろん最近はよく工夫された教科書がありますが、こうした疑問にはたしかに一理あります。経済学は物理学をお手本にしてきたといわれます。けれどもたとえば物理学の教科書をひもとくと、そこでは理論が実験や観測結果によって検証され、あるいは修正され、継承され、あるいは破棄され、そして新しい理論が生まれていく過程が生き生きと描かれ、またそれが学問の理解に必要なものと考えられています。もちろん経済学では物理学のような観測・実験はできません。私たちが持っているのは、これまでの、雑音の多い歴史的経験だけです。それだからこそ歴史は真剣に取り上げる必要があり、ただ単に過去=過ぎ去ったことではなく、将来への手掛かりを含む宝の山として取り扱う必要があります。
この講義では、歴史的事例をとりあげながら、経済を見る要点、「勘所」を学んでいきたいと思います。雑音の多いながらも歴史を学ぶことは、「論理的にありうる」多数の選択肢から、「実際に起こりうる」事例を仕分けし、現実経済を理解するための道具として有用な候補を絞り込むための手助けとなります。それによって、現在の経済学で不十分かつわからないことと、それなりに分かっていて使える部分を見分けることができるかもしれません。歴史は、日本の近現代史を主として、随時他の地域・時代に言及したいと思います。現実経済を理解するための道具としての経済学に興味のある人への経済学再入門としてご利用ください。
第1部:「誰もが好きなことをしたい」―経済成長、自由市場、自由貿易とインセンティブの力
第1部では、経済学の基本中の基本、インセンティブと、トレード(交換、交易、貿易)をとりあげます。事例としては、それこそ人類史始まって以来の経済成長のエピソードをあげることができますが、主として日本の近代経済成長、開国経験、高度経済成長を対象とします。
第2部:「しかし、ない袖はふれない」―再分配とトレード・オフの力
第2部では、考えようによってはインセンティブ以上に重要な資源制約、トレード・オフの考え方を学びます。事例としては田中角栄と日本の高度経済成長の終焉、サッチャー改革、ソ連・東欧型経済体制の終焉をとりあげます。
第3部:「先立つものはお金だ」―物価と景気とマネーの力(1)
第3部と第4部では、マネーをとりあげます。2回を使うのは、インセンティブとトレード・オフなどと比べて、マネーはやや前提知識が必要で時間をかける必要があるからです。けれども貨幣の兌換可能性と国際通貨制度を切り口とすると話がわかりやすくなります。事例については18世紀初頭イギリスの地金論争から19世紀末のデフレ、そして日本の近代化と貨幣というあたりをとりあげます。
第4部:「先立つものはお金だ」―物価と景気とマネーの力(2)
ここでは1920年代のハイパーインフレ、30年代の「大恐慌」、70年代の「大インフレ」プラザ合意(1985年)から現代までの日本経済の「危機の20年」、そして最後に現在進行形の経済危機をとりあげます。
若田部昌澄(わかたべ・まさずみ)
1965年生まれ。早稲田大学政治経済学部経済学科卒業後、早稲田大学大学院経済学研究科およびトロント大学経済学大学院に学ぶ。現在、早稲田大学政治経済学術院教授。専攻は経済学史。おもな著書に『経済学者たちの闘い――エコノミックスの考古学』 (東洋経済新報社、2003年)、『改革の経済学――回復をもたらす経済政策の条件』 (ダイヤモンド社、2005年)、『昭和恐慌の 研究』(共著、東洋経済新報社、2004年) 。近著に若田部昌澄 『危機の経済政策――なぜ起きたのか、何を学ぶのか』 (日本評論社、2009年8月)。
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Lecture04 シノドス×光文社共催
若田部昌澄「経済学の勘所を歴史に学ぶ ― もう一つの経済学再入門」
日時 : 2010年1月24日(日)9:30〜17:00
場所 : 光文社(東京メトロ有楽町線護国寺駅5番出口より徒歩5分 地図はこちらです )
定員 : 40名
費用 : 12600円(税込)
レクチャー概要:
経済学を勉強した、あるいはしようとした人から寄せられる疑問(不満?)に、教科書が無味乾燥としていることと、現実との対応があまりないということがあります。むろん最近はよく工夫された教科書がありますが、こうした疑問にはたしかに一理あります。経済学は物理学をお手本にしてきたといわれます。けれどもたとえば物理学の教科書をひもとくと、そこでは理論が実験や観測結果によって検証され、あるいは修正され、継承され、あるいは破棄され、そして新しい理論が生まれていく過程が生き生きと描かれ、またそれが学問の理解に必要なものと考えられています。もちろん経済学では物理学のような観測・実験はできません。私たちが持っているのは、これまでの、雑音の多い歴史的経験だけです。それだからこそ歴史は真剣に取り上げる必要があり、ただ単に過去=過ぎ去ったことではなく、将来への手掛かりを含む宝の山として取り扱う必要があります。
この講義では、歴史的事例をとりあげながら、経済を見る要点、「勘所」を学んでいきたいと思います。雑音の多いながらも歴史を学ぶことは、「論理的にありうる」多数の選択肢から、「実際に起こりうる」事例を仕分けし、現実経済を理解するための道具として有用な候補を絞り込むための手助けとなります。それによって、現在の経済学で不十分かつわからないことと、それなりに分かっていて使える部分を見分けることができるかもしれません。歴史は、日本の近現代史を主として、随時他の地域・時代に言及したいと思います。現実経済を理解するための道具としての経済学に興味のある人への経済学再入門としてご利用ください。
第1部:「誰もが好きなことをしたい」―経済成長、自由市場、自由貿易とインセンティブの力
第1部では、経済学の基本中の基本、インセンティブと、トレード(交換、交易、貿易)をとりあげます。事例としては、それこそ人類史始まって以来の経済成長のエピソードをあげることができますが、主として日本の近代経済成長、開国経験、高度経済成長を対象とします。
第2部:「しかし、ない袖はふれない」―再分配とトレード・オフの力
第2部では、考えようによってはインセンティブ以上に重要な資源制約、トレード・オフの考え方を学びます。事例としては田中角栄と日本の高度経済成長の終焉、サッチャー改革、ソ連・東欧型経済体制の終焉をとりあげます。
第3部:「先立つものはお金だ」―物価と景気とマネーの力(1)
第3部と第4部では、マネーをとりあげます。2回を使うのは、インセンティブとトレード・オフなどと比べて、マネーはやや前提知識が必要で時間をかける必要があるからです。けれども貨幣の兌換可能性と国際通貨制度を切り口とすると話がわかりやすくなります。事例については18世紀初頭イギリスの地金論争から19世紀末のデフレ、そして日本の近代化と貨幣というあたりをとりあげます。
第4部:「先立つものはお金だ」―物価と景気とマネーの力(2)
ここでは1920年代のハイパーインフレ、30年代の「大恐慌」、70年代の「大インフレ」プラザ合意(1985年)から現代までの日本経済の「危機の20年」、そして最後に現在進行形の経済危機をとりあげます。
若田部昌澄(わかたべ・まさずみ)
1965年生まれ。早稲田大学政治経済学部経済学科卒業後、早稲田大学大学院経済学研究科およびトロント大学経済学大学院に学ぶ。現在、早稲田大学政治経済学術院教授。専攻は経済学史。おもな著書に『経済学者たちの闘い――エコノミックスの考古学』 (東洋経済新報社、2003年)、『改革の経済学――回復をもたらす経済政策の条件』 (ダイヤモンド社、2005年)、『昭和恐慌の 研究』(共著、東洋経済新報社、2004年) 。近著に若田部昌澄 『危機の経済政策――なぜ起きたのか、何を学ぶのか』 (日本評論社、2009年8月)。